withサブリース時代

コロナ化を抜け、店舗物件の流動性が上がってきたと感じるこの頃、これは東京都内に限るんですが、募集要項でやたらと「サブリース物件」の文字が目に付くようになりました。

あくまでも僕の体感ですが〝それなりに良さそう〟な物件は3分の1くらいの確率でサブリース物件ではないかと、サブリース業者の急激な台頭を肌で感じている次第です。

サブリース業者の目的はいわゆる「賃料のピンハネ」という偏見から、飲食をはじめとした借り手からはすこぶる印象が悪い。というかめちゃくちゃ嫌われている。
そりゃそうだ。「何も労せずして、血と汗の結晶である利益を中抜きする」なんて許せるわけがない。
 
とはいえ私はこれまでどの立場でも商売をしてきたので、どちらの言い分も分かってしまうため、少し「ピンハネ」の誤解を解きながらも今後、我々店舗ビジネス事業者はどのようにしてサブリースと向き合っていくのかを考えたい。

長い間、店舗業界ではご法度とされていたサブリースいわゆる又貸しですが、商業施設やオフィスをはじめとした大手デベロッパー案件から住居アパートのマスターリースなど昔から当然のように行われてきた仕組みだったのです。

単純に考えれば時代の多様化に即した形になってきただけのようにも思うが、ここには少し業界なりの時代背景がある。

今回はサブリース業者目線で考えてみたいと思います。

現在、店舗物件を中心にサブリースを行っている会社は、テンポイノベーションやABC店舗など大手を含めて無数に存在している。事の始まりは2003~4年ごろ、店舗流通ネットが「業務委託店舗事業」を世に広めたことから始まったと記憶しています。

ここ数年は店舗仲介会社も率先して参入してきており、秩序もなく、大中小企業が入り乱れた戦国時代で手が付けられない状態ですね。

サブリースの流れと旨味してはこう。

店舗仲介業で大家から預かった物件が、

・相場より安い
・借り手が多い

この二つの条件が揃うと、まず市場に出さずに自社で借りる。

基本的に「又貸しOK」の条件で大家さんを説得できれば、その物件に関しては実質的な大家として君臨できるため、あとはゆっくり煮るなり焼くなり。

年間で何十件もの契約をしている百戦錬磨の仲介会社からすると、小規模の飲食店オーナーは飛んで火に入る夏の虫、ハッキリ言ってチョロいはずです。
不動産屋だったころの経験上、5~10店舗くらいの若いオーナーがお金もあるし、いい意味でおだてればいくらでも相談に乗ってくれる印象です(他意はないです)。

ただ、そうは言うものの、実際のところ「相場」があるためそこまで家賃には上乗せできない。

しかし、しかしですよ。

あれだけ「坪単価いくら(坪単価なんて何の意味もないのに)」や月額賃料には異様に執着するのに、不思議とその他の条件はスルーの経営者が多い!ことに気付いてしまった。

礼金
保証金償却
更新料
内装造作料

など、自分が大家なら取り放題。初期手数料を分かりにくく表示して、賃料さえそれなりの金額抑えておけば、いつか切羽詰まった誰かが借りるんだと。

出店したい。物件がない。早く出したい。今すぐ出したい。
そんな中、手元に送られてくるサブリース物件。

「出る前に負けること考えるヤツがいるかよバカヤロウ」
とアントニオ猪木は言いましたが、まさにこのマインドを逆手に取ったわけですね。

外食産業は、店舗展開を「飲食業」だと考えがちですがこれは立派な「不動産業」です。異業種です。
ほとんどの企業が、世にある物件のほんの少ししかリーチできていないことも問題なのです。物件がないのではない、知らないだけ。

投資話も何もかも、向こうからくる話はなんちゃらです。

いかにサービスや店舗運営のプロでも、店舗不動産に関しては鴨ネギ状態だということを自覚して、経営者自身がもっともっと業界知識をつけていくことが、今後の外食業界再興の足掛かりになると考えています。

とはいえ、都内では約4000軒ほどの店舗がサブリース物件になっていて(当社調べ)さらに増え続けると予想されるため、店舗を展開するためには完全に無視はできません。withコロナならぬwithサブリース。

それにはしっかりとプロの知識をもって交渉する必要があります。それ次第では十分に価値のある物件ありますし、もちろん、サブリースの中にも掘り出し物をたまに見つけることがありますが、この話はまたいずれ。

当社では、このような特殊な業界へ対抗するためのブレーンとして店舗開発の顧問業を行っています。
初回無料診断・コンサルティングを行っているのでHPからお問合せください。これまで悩んでいた出店の世界が変わることをお約束します。

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